週刊トークンエコノミー

暗号通貨・仮想通貨界隈でその日起こったこと、忘れ去られるくだらない出来事を日毎に記事にまとめています。ちゃんとしたニュースサイトじゃない特徴を活かしてくだらない内容もまとめます。多分日刊です。

【コラム】ビットコインというゲームのルール

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誰かがビットコインのことを「2100万BTCの奪い合いを行うゲームだ」と言っていた。

今日は平和だったので、ビットコインのトラストレスな世界の仕組みを人狼のようなゲームのルールに例えて解説してみようと思う。(一部理想化されている)

・・・・・・

ビットコインという9年前に出たゲームが最近また流行りだしているようだ。

新規参加者も大幅に増えているが、よくわからないまま人に勧められて入ってきた人も多いと思うので簡単にルールを解説する。

詳しい解説は既にいくつも出ておりインターネットで無料で読めるが、初心者には少し難解だ。有名なものは記事の末尾にいくつか紹介しているので詳しいことを知りたい方はそっちをあたって欲しい。

 

フィールド

インターネット及び現実世界

 

使用デバイス

PC、スマートフォン、紙、鉄板、石版、脳など

 

参加資格

なし。誰でも参加できる。

 

ゲームの目的

参加者が協力しないでそれぞれの目的を追求することで、ビットコインというゲームを存続させること。

 

プレイヤーの役割(ジョブ)

主に以下の5つの役割がある。普通の人はユーザーから始めることがほとんどだろう。ちなみにゲームマスターはいない。

・コアデブ(開発者)

・マイナー

・ユーザー

・取引所

・アタッカー

 

それぞれの勝利条件と能力を表にまとめた。 

 

役割  主な勝利条件 能力
コアデブ トラストレスな世界の実現 プロトコルとソフトウェアの作成
マイナー

2100万BTCの奪い合いによる

自己利益の最大化

ソフトウェアの選択とビットコインの取引台帳の作成
ユーザー

2100万BTCの奪い合いによる

自己資産の保護もしくは増加

利便性の獲得

トレード=保有通貨の選択=市場価格の決定

取引所

2100万BTCの奪い合いによる

自己利益の最大化

上場通貨の選択
アタッカー

低コストで2100万BTCを奪い取ること。

ゲームの破壊

?(あらゆる手段を講じる)

 

人数比としては "ユーザー>マイナー>取引所>コアデブ≧アタッカー" だと言われている。

ただしマイナーがアタッカーにジョブチェンジする可能性も指摘されているし、取引所はなくなるという人もいる。

 

ところでコアデブの勝利条件の意味がわからない人がほとんどだと思うので説明しておく。

"トラストレスな世界の実現"とは平たく言うと、信頼された第三者機関(金融機関等)の介在なしにネット上で価値を交換できる電子キャッシュシステムを作成することだ。

これでもそれに何の意味があるのかわからない人がほとんどだろうが、コアデブとして参加する人はかなりの変人なあまりいないので気にしなくても大丈夫だ。

 

ユーザーはトレード以外にも電子決済を行うことでBTCの市場流動性を高めることが想定されていたが あまり使われていない。

 

アタッカーは、実在の人間というよりも、あらゆる攻撃方法を検討してくる「仮想敵」であるため能力の欄は”?”としている。もしアタッカーが国家だった場合は核攻撃等が想定されるだろうが、基本的にはアタッカーは極端に経済的に不合理な行動は取らないことになっている。

 

ルール

基本的なルールは「資本主義」というゲームを参考にして作られている。

ざっくりゲーム進行を見ていく。

 

1. コアデブがプロトコルとソフトウェアを作成し配布する。

2. マイナーがソフトウェアを選択しハードウェアを用意して電気を使ってマイニング(ビットコイン台帳の作成)を行う。

3. プロトコルに従いマイニングに成功したマイナーにビットコインが与えられる

4. マイナーはマイニング費用を支払うため取引所でビットコインを売り現地の法定通貨に交換する(ビットコインで電気代が支払える場合は直接電気と交換する)

5. ユーザーは取引所でビットコインを購入し自己資産と交換する。

※アタッカーはあらゆる攻撃手段を用いてビットコインを奪うもしくはゲームを破壊することを目論む

 

 

アタッカー以外の力関係は"ユーザー>コアデブ>マイナー>ユーザー>取引所>マイナー"

であり変則的な三すくみ状態になっている。三すくみのなかみは以下のとおりだ。

 

ユーザー>コアデブ

・コアデブがトラストレスな世界を実現するためにはビットコインを世界中の人間に使ってもらわなければいけないので、ユーザーよりも立場は弱い。コアデブは多くの人間に使えてユーザーの利益になるソフトを作る必要がある。

 

コアデブ>マイナー

・コアデブはマイニングするソフトを供給する立場なのでマイナーより強い。その代わりマイナーはソフト(通貨)を選択することができる。

 

マイナー>ユーザー

・マイナーはユーザーの取引を検証し台帳に何を記録するか決められる立場のため基本的にはユーザーより強い立場にいる。ユーザーは取引手数料をマイナーに払う必要がある。

 

ユーザー>取引所

・一方ユーザーはどの取引所を使用するのか決められるため取引所に圧力をかけられる立場にいる。取引所にとってはお客さんになる。

 

取引所>マイナー

・マイナーは取引所でビットコイン法定通貨などと交換できなければマイニング費用を支払えないため、取引所よりも立場が下になる。マイナーが勝手な通貨をマイニングしても取引所に上場していなければ売ることができない。

 

ゲーム存続の条件

・前述したようにゲームの目的はゲームが続くことだ。それぞれの参加者が「協力しないで」別の目的を持って自分勝手に行動することで、結果的にお互い協力しないでもゲームが続くことになる。

・そのためにはお互いの力のバランスが偏っていないこと、アタッカーに攻撃される致命的な弱点が無いこと等が条件になるだろう。

ビットコイン以外の似たようなゲーム(オルトコイン)では、コアデブがいなくなり価格が暴落し、マイナーがいなくなって取引所から消されたゲームもある。

・マイナーの間で同じゲームなのに使うソフトを選択するときに意見が割れてしまうことがあり結果別のソフトでマイニングを始める場合がある。その場合ゲームが分裂するが、そういう現象を「ハードフォーク」と言ったりする。ゲームバランスが崩れるので基本的にはゲームの危機だ。

 

ゲームの醍醐味

ゲーム参加者は初め好きな役割を選んで参加することができる。それぞれの役割でずっとプレイしてもいいし、自分の興味の変化に従ってジョブチェンジも自由にできる。

ユーザーからマイナーへのジョブチェンジなんかは一般的だ。ユーザーから技術に興味をもって取引所を始めた人や、コアデブの支援を行う立場になる人もいるだろう。

それぞれが協力する必要が無いので、いろんな人が自分の思惑で動いても問題ない。そのため変な人が沢山いるところが面白いところだろう。

またビットコインの価値が存在することによってビットコインの価値が存続するというトートロジーや、価値というものの不思議さも味わうことができる。

なによりこれまで当たり前だと思っていた自分の中の常識が変化してしまうことが面白く、病みつきになる人も多い。

 

参考文献

もっと詳しいルールブックを紹介する。

ナカモトサトシ著のビットコイン原論文(英語)

https://bitcoin.org/bitcoin.pdf

インチェックで日本語版が読めたが最近メンテナンスで見られなくなっている。

 

マスタリングビットコイン(日本語)

Translations – Mastering Bitcoin

ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術

ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術

 

 

上のリンクから無料で日本語版が読めるがアマゾンで買ってもいい。翻訳の質などは違うみたい。長い。

 

 

マンガでわかる ビットコインと仮想通貨 (マンガ)

マンガでわかるビットコインと仮想通貨

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読んだこと無いけど評判いいので読んで感想教えてください。

 

 

おわり

※2/23一部加筆修正